基礎 · PixInsight 1.9.x

SpectrophotometricColorCalibration (SPCC)

SpectrophotometricColorCalibration(SPCC)は、Gaia のスペクトルから、使ったフィルターとセンサーで各恒星がどう写るはずかを計算し、それを画像と比べてチャンネルの係数を求める。あわせて背景もニュートラルにする。

目的

用途設定
広帯域・OSC 画像で自然な色を得るセンサーとフィルターのカーブ、White reference
背景をニュートラルにするRegion of Interest つきの Background Neutralization
なぜ手動のホワイトバランスではなく SPCC を使うのか

SPCC は何千もの恒星を Gaia DR3 のスペクトルと測光的に比べる。客観的で再現可能である。手動のバランスは見慣れた色に引きずられる。

原理

  • 恒星ごとに、予想される色の比(Gaia のスペクトル、フィルターとセンサーのカーブから)と、画像で測った色の比を比べる。
  • すべての恒星を通る直線を引く(Linear Fit)。White reference(例 Average Spiral Galaxy)の位置で White Point が決まる。
  • White reference がニュートラルに見えるよう、各チャンネルを White Point の y の逆数で拡大縮小し(G を基準)、最大の係数で正規化する → White Balance Factors。
  • 前提:リニア画像、天体位置解析の結果、グラデーション補正済み。グラデーションがあると背景とホワイトバランスが狂う(隅ごとに背景の色が違う)。測光には変形していない恒星像が必要なので、 の前に行う。

パラメーター

パラメーター設定理由
QE curveカメラのセンサー分光感度が予想される恒星の色に入る
Filter R/G/B実際に使ったフィルター。OSC ではセンサーのカラーフィルターのカーブSPCC はまさにこのフィルターで各恒星がどう写るかを計算する
追加フィルター光害カットやマルチバンドのフィルターなど(一覧にあれば)ないとその影響がモデル化されない
Narrowband mode広帯域と OSC ではオフ
White referenceAverage Spiral Galaxyニュートラルな基準:平均的な銀河が白に見える
Background Neutralization有効、星雲のないプレビューに Region of Interest下記
Lower / Upper limit既定 −2.80 / +2.00(中央値に対するシグマ)星雲が多い領域では Upper を下げる(+1.0〜+1.5 程度)

操作

  1. 天体位置解析の結果が から来ていなければ ImageSolver。
  2. 背景用のプレビュー(Alt+N):星雲が見えず、明るい恒星ができるだけ少ない範囲、一辺 300〜400 px、端から 50〜100 px 以上離す。暗黒星雲は不向き(本当の空より暗い)。
  3. SPCC の Background Neutralization で Region of Interest を有効にし、From Preview で取り込む。
  4. 適用し、グラフとログを確認する。
なぜRegion of Interest を使うのか

指定しないと、背景は画像全体から求められる。広がった星雲のある領域では星雲の成分が混ざり、SPCC が星雲まで一部ニュートラルにしてしまう。淡い部分が色ではなくグレーになる。原理は と同じである。

代表的な使い方

結果を読む

R/G と B/G のグラフ:

要素意味
緑の点恒星 1 つ
横軸(Catalog)Gaia のスペクトルとフィルターのカーブから予想される色の比
縦軸(Image)画像で測った色の比
青い線すべての恒星を通る Linear Fit
縦の黒い線カタログ上の White reference の色の比 → White Point の x
横の黒い線そこでの直線の値 → White Point の y
特徴理想ずれの意味
点の雲密で直線的、曲がりがない曲がりや分かれた群 → フィルターやセンサーのカーブが実際の系に合わない
切片0 に近いスペクトルのずれ(モデル化されていない追加フィルターなど)や背景のオフセット
傾き何でもよいが雲全体で安定–
σ小さい(広帯域で約 0.03〜0.06 以下)ノイズ、フィルターの影響、暗い恒星
White Point雲の密な部分にある端や外 → ホワイトバランスの裏付けが弱い
外れ値個々の点二重星、変光星 → 問題ない

例(広帯域、モノクロ RGB): 2,784 個の恒星。R/G 傾き 0.916、σ 0.029。B/G 傾き 1.344、σ 0.058。係数 1.000 / 0.787 / 0.710。どちらの雲も直線的で密、White Point は中央にある。

カラーカメラでのマルチバンドフィルター

クアッドバンドやデュアルバンドのフィルターは、恒星のスペクトルの一部を切り取る。追加フィルターとして登録されていなければ、SPCC はセンサーのカーブだけで計算する。そのため測った色と計算した色は厳密には直線関係にならず、傾きが 1 から大きく外れ、切片が大きく、ばらつきが増える。

例(OSC、クアッドバンド): 5,077 個の恒星。R/G 傾き 1.374、σ 0.107。B/G 傾き 0.645、切片 +0.521。それでも White Point は密な部分にある → ホワイトバランスは妥当。色はよい近似であって厳密な較正ではない。決め手は目による確認である。

よい結果の見分け方

よくある失敗

症状原因対処
星雲の淡い部分がグレーRegion of Interest なしの Background Neutralization、または Upper limit が高すぎる星雲のないプレビューに Region of Interest、Upper limit を下げる
画像の隅に色かぶりグラデーションを補正していない先にグラデーション補正
点の雲が曲がっているフィルターやセンサーのカーブが違うカーブを確認
ばらつきが大きい、傾きが 1 でないモデル化されていない追加フィルター想定どおり。目で確認する
SPCC が始まらない天体位置解析の結果がないImageSolver

向いている場面・向いていない場面

向いている別のツールがよい
広帯域 RGB と OSC(光害カットフィルターつきも)疑似カラー(HOO、SHO) →
客観的で再現可能な色MGC 用の流束較正 → SPFC( を参照)
使用されている手順

BackgroundNeutralization · CurvesTransformation · HaLRGB のワークフロー · MultiscaleGradientCorrection (MGC) · SCNR · WeightedBatchPreprocessing (WBPP) · クアッドバンドフィルターを使った OSC のワークフロー · ナローバンドのワークフロー(HOO/SHO)